2007.12. 5 生きていたハラビロカマキリ

 今日はおそらくこの冬一番の冷え込みだったと思う。霜がおりてとても寒い朝であった。早朝、雑木林の幹を縫うように見て歩き、フユシャクのメスを探してみた。チャバネフユシャクもすでに発生しているようで、ライトトラップにオスが2匹入っていた。
 小さな虫を探し出す視点で、幹を一本一本なめるように見ていったのだが、突然視界に入った虫は、大きなハラビロカマキリのメスであった。ちょっと驚きながらも、すぐに我に返り、この季節まで生きながらえたたくましさに敬意を表したい気持ちになった。
 午後になり再びその場所を訪れると、朝とまったく同じ場所に彼女はいた。もう動く元気もない様子だった。どんな虫も同じだが、生まれて死ぬまで様々なドラマがある。天敵が多い複雑な生態系の中で、子孫を残し、天寿を全うできる個体はごくわずかなはずだ。
 そんな世界に生きて、種として、個体としての役割を果たし、冬の訪れとともにゆっくりとフェードアウトしていく彼女は「幸せな虫なのだなぁ」と思うのであった。



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