今日、飼育しているサトクダマキモドキの産卵を観察する機会を得た。ガマズミの茎に逆さに止まると腹をCの字に曲げて産卵管を突き立てるという独特なポーズでそれは行われた。
大アゴで樹皮を噛みながら、2枚の鞘で構成された短い産卵管を互い違いに動かしながらゆっくりと茎に挿入していくと表面には独特な繊維が盛り上がっていった。
産卵管が充分に差し込まれると平べったい卵が産卵管からややはみ出て送り出されるのが確認できた。一つの工程がおよそ3,4分で、他のキリギリス類に比べて1卵に費やす時間はとても長いようだ。
キリギリス上科の産卵場所と産卵管の形状の関係はとても興味深いものがある。クダマキモドキを含むツユムシ類たちはもっとも短い産卵管を有するグループだが、植物組織にナイフのごとく切れ込みを入れて産卵していく様は外科手術的な巧な技を感じるのであった。