2008.12.28 ムネアカアワフキ幼虫の正体

昨日から家内の実家がある神奈川県津久井郡に来ている。道志川のほとりにある田園地帯がここでのフィールドだが、のっぺりした冬の水田を眺めて何をしようか考えてしまった。並木として植えられたソメイヨシノに目が行ったが、幹の窪みにはヨコヅナサシガメ、枝先にはムネアカアワフキの巣が無数に付いていることも前々から知っていて「探す」「写す」という意欲が湧いてこなかった。しいて言えば、ムネアカアワフキの独特な巣をデジタルで撮影していなかったことを思い出し、とりあえずだがこれを撮ろうということになった。枝先の巣の様子を撮影しながら、「そういえば巣の中には幼虫がいるんだよな・・」と思い石灰質でできた渦巻きの巣を割ってみた。なにか水っぽいブヨブヨしたものが入っていたが、とてもアワフキムシの幼虫を連想させるものではなかった。ふと冷静になって、そうか、枝から吸汁しているとすれば、頭は巣の奥で開いた口とは逆向きに入っているはずと思い、まず巣ごと枝からはずし付け根から慎重に巣を開いていった。そして現れたのはまぎれもなくアワフキムシ型幼虫であった。しかし、腹部はカタツムリを思わせるような柔らかさで、固い巣に入っていなければ形状を保てないくらい軟質なものであった。ここまで巣という器に特化した形態と、行く末の「羽化」という変態をどのように迎えるのか、やり過ごしかけた「ムネアカアワフキ」という対象から思わぬ発見と興味が湧いてきた。



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