水辺ではクロスジギンヤンマが発生のピークを迎え、産卵するメスと、パトロールするオスがにぎやかに活動している。朝と夕方は比較的オスのパトロールも少なめで、メスもゆっくりと産卵ができるようだ。産卵シーンを狙って池で待機しているとさっそくメスが飛来し、枯れた抽水植物の茎に産卵を始めた。雑然とした背景で、あまり画にもならぬシーンに撮ろうか迷っているとパトロールしていたオスがすかさずメスの首根っこを挟み込んでさらっていってしまった。慌ててカメラを向けて、かろうじてピントのあった一枚が撮れた。昨日もおもしろいシーンを見た。翅がボロボロのオスがメスを捕まえ交尾に至ったが、よろよろと地面に落下し、逆さまになってしまったのだ。「これは面白い!」と思ってカメラを向けたが、その後、翅をばたつかせてなんとか立て直し低い枝先に止まった。普通、クロスジギンヤンマは、高木の枝先まで移動して交尾するが、オスもだいぶ老いぼれると、こんな例外もあるのだなと思った。それにしても、こんなに擦り切れた肉体を持っても、自分の遺伝子を残そうという執念に感服した。