昼時、カラタチの垣根にいるときのことだった。アゲハの終齢幼虫が葉っぱをむしゃむしゃと食べている様子を撮影していると、アゲハヒメバチがその近くを飛んでいることに気づいた。もしかすると寄生の瞬間が撮れるかもしれないと、その先の出来事を勝手にシミュレーションしてしまった。そして、結果的には、思ったとおりの出来事が起こってしまったのだ。何度となくアゲハの幼虫がいる枝をかすめては遠ざかったが、ついに、枝先の幼虫に気づき、そっと背後から近づいていったのだ。このとき、アゲハの幼虫は、ピタリと葉を食べるのをやめ、頭部を小刻みに震わせて敵の接近を感じた様子であった。そして、ついにアゲハヒメバチは幼虫の腹部末端あたりにブスっと産卵管を刺したのだ。幼虫は驚いた様子で体をよじらせて、ハチと一緒に地面に落下してしまった。地面には草が茂り、その後の展開が不鮮明であったが、偶然とはいえ息を飲むシーンを目の当たりにした。