2009.9. 5 ツクツクボウシの叶わぬ恋

ボルネオの企画展が終わり、秋の野山の昆虫展へと切り替える過酷な一週間であった。ようやく秋の展示が今日スタートし、天気もよく、久しぶりにカメラを持ってぶらりと歩いた。柳の樹皮に産卵するアブラゼミが目に入り、とりあえずだがカメラを向けていると、1メートルほど樹上でツクツクボウシが鳴き始めた。このツクツクボウシの行動が意表を突いたものだった。2フレーズほど鳴いては後ずさりしたり、時には飛び上がって、徐々に下がっていったのだ。気がつくと産卵しているアブラゼミのすぐ脇まで来ていた。何度となく「オーシーツクツク」とお腹を震わせていたが、まさかそのアプローチの相手がアブラゼミとは想像もつかなかった。突然、アブラゼミにすり寄ったかと思うと交尾をしかけたのである。アブラゼミの方は特に動じず、少し移動して産卵を続けていた。ツクツクボウシもあきらめて再び鳴き始めたが、セミ同士とはいえ、同種をいったいどのように見極めているのだろう。この夏、セミをいろいろと見てきて、本当に世話しなく夏という時間を過ごし、思いっきり鳴いて、当たって砕けろという投げやりにようで一生懸命さを感じさせてくれた。



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