ハリガネムシに寄生されたオオカマキリが手に入った。なぜ寄生されているかがわかったかというと、オオカマキリをつかんでいるとき、腹の先から「ニュッ」と顔を出したのだ。おそらく宿主の危機を感じ、脱出しようとでも思ったのであろうか。しかし、再び腹の中にひっこんでしまった。本来、宿主が水辺に到達したときに脱出し、その行動を宿主に促すとも言われている。そこで、水辺の脇にオオカマキリを移動させてその行動を見ることにした。人間が関与した実験行為ではあるが、オオカマキリの行動に驚かされた。なんと、水辺にまっしぐらに進むとそのままダイビングしてしまったのだ。そして浮きあがりながら明らかに水をガブガブと飲み始めた。すると、腹の先からハリガネムシが脱出したのである。急な展開にアタフタしながら、ここでどのように写真を撮ろうか迷い、とっさの判断でオオカマキリを水から出して撮影してしまった。これは、両者をはっきりと写し込みたかったからである。しかし、この一連の行動をそのまま撮ったほうがおもしろかったとひどく後悔することになった。おそらく、ハリガネムシは宿主の水分欠乏を促すことで水辺へと誘導していると直感的に思ったからだ。