毎年、新緑の頃に、コナラの枝先で一度は見かけるシャクガ幼虫がいた。しかし、何度飼育しても羽化にたどり着けず、種は不明のままであった。老熟すると2枚の葉をあわせて蛹室を作るが、下部の葉に三日月型の切れ込みを対称的に入れて、楕円に抜けた葉を上部の葉に綴るという特徴的なものだ。小さな通気孔もあり、かなり凝った細工である。変わっているのは、この蛹室の中で、約1ヶ月という長い前蛹期間を過ごすことから、タッパー飼育では、蛹化せずに失敗するパターンを繰り返していた。今年は、コナラの鉢植えで飼育し、屋外で管理を続けてようやく羽化に至った。アオシャクの一種は明白であったが、似た種が多いグループだけに、慎重に同定を行った。絵合わせの範囲ではツバメアオシャクで間違いないであろうという結論に達した。食草は不明とされていた種である。発生も年1化でおそらく若齢越冬のタイプであろう。普通種でありながら、手ごわいイモムシであった。