かれこれ3週間ほど前になるが、ニジオビベニアツバがライトトラップに来た。昆虫の森では3例目で、北関東の記録としては稀なようである。あの不思議な幼虫を見るチャンスと思い、袋に入れて腹部を眺めた。やや太い感じもするが、先が把握器のように割れているのが気になった。メスである確信も無かったが、ダメもとで採卵を試みることにした。数日間は気になって毎日見ていたが、卵らしきものは見当たらず、ほとんどあきらめていた。昨日、成虫が死に再度袋の中を眺めていた時だった。シャクトリ歩きの小さな幼虫が目に入った。「やった!」と思わず叫んだ。イヌビワの実という確実な餌を容器に入れてみた。完熟して落下したものと枝先の赤い実を用意したが、今日、確認したところ、完熟したほうに幼虫は張り付いていた。そっと取り出しカメラを向けると、なにやら表面に生えたカビのような菌糸を忙しそうに食べていた。食性の記録はいろいろあるが、当分観察が楽しめそうだ。あの特徴的な刺毛はなく、何齢期から現れるか確認してみたい。色彩はなかなかカラフルで、頭部と胴体の縦縞模様がおもしろい。