現存する昆虫で、もっとも起源が古いイシノミについての原稿を書いていて、変わった特徴が腹側に多いのにその写真がないことに気づいた。そこで「腹面写真を撮ろう」と思い立ち、赤城山の麓の公園へイシノミを探しに出かけた。以前に一本のアカマツの幹で多数見かけたが、その木は枯れて切り倒されていた。スギの樹皮を剥がしはじめてようやく数匹手に入れることができた。撮影方法は想像にお任せするが、なんとか腹面の撮影が完了した。気になっていたのは、背面からも確認できる脚基突起で、前、中、後脚の間に2対見える。胸部の3対6本の脚が連続する3節から成り立っているはずなので、異様な脚の存在である。拡大してみると、中、後脚の基節のあたりから生えているようだ。甲殻類にも同様な部位があるらしく「腹脚のなごり」という解説も見つけたが、脚の成り立ちから考えるといまひとつ納得がいかない。